見出し
見出しのスタイルを変更したい時には、\renewcommand
コマンドを使うことができます。ためしに次の行をプリアンブルに追加してみましょう。
\renewcommand{\thesubsection}{\arabic{subsection}}
これによって通常1.1などと表示されるsubsection
の見出しにsection
の番号(1.1の1.の部分)を表示させないようにすることができます。
\renewcommand
に続く最初の{}
で\the
を追加した見出しの種類を記述し、どの見出しのスタイルを変更するかを指定します。続く{}
で、実際の書式を設定します。例の\arabic
だけでなく、次のオプションがあります。
コマンド | 形式 | 例 |
---|---|---|
\arabic | アラビア数字 | 1, 2, 3, ... |
\roman | ローマ数字 | ⅰ, ⅱ, ⅲ, ... |
\Roman | ローマ数字 | Ⅰ, Ⅱ, Ⅲ, ... |
\alph | アルファベット | a, b, c, ... |
\Alph | アルファベット | A, B, C, ... |
\arabic
などのコマンドに囲まれた部分にはカウンタを指定します。カウンタとはTeXで見出しの番号が入っている変数のようなものです。見出しのタイプを指定することができます。
さきほどの例を見てみましょう。
\documentclass[12pt,a4j]{ltjsarticle}
\usepackage{luatexja}
\renewcommand{\thesubsection}{\arabic{subsection}}
\begin{document}
\section{はじめに}
\subsection{なぜWordよりLaTeXを使うのか}
普段からLaTeXをよく使うのですが、なぜLaTeXのほうがいいか、自分の考える理由をまとめてみました。
\begin{itemize}
\item Wordを使っていて、リストをネストしたり 、インデントを調整したりすると後から同じように再現するのはかなり面倒です。LaTeXの場合は、ソースコードで構造が指定されているので、あとから同様のファイルを作るのは簡単です。
\item ターミナルからの操作も、他のスクリプトと連携させることも、LaTeXならばソースファイルはテキストベースなので簡単です。
\end{itemize}
\subsection{種類}
TeXファイルを実際にPDFファイルに変換する処理を担うTeXの処理系には、いくつかの種類・派生があります。
\end{document}
このようなドキュメントを作成し、PDFを出力すると、次のような結果が得られます。subsection
は本来1.1
のように、section
の番号も入りますが、\renewcommand
を用いたことによって、その表示を消すことができました。
見出し – 高度なカスタマイズ
より高度な見出しのカスタマイズを行うためには、titlesec
パッケージを利用することができます。このパッケージを使うのが初めての場合は、ターミナルで
sudo tlmgr install titlesec
を実行してパッケージをインストールします。その後、プリアンブルにカスタマイズする見出しの設定を記述します。
\usepackage{titlesec}
\titleformat{\section}[block]{\normalsize}{\textbf{問題\thesection}}{0.5em}{}
上の例では、section
の見出しを変更して、問題文の表示に使っています。
この例を含むソースファイル
\documentclass[12pt,a4j]{ltjsarticle}
\usepackage{luatexja}
\usepackage{amsmath,amssymb} % 数式表示のため
\usepackage{titlesec}
\titleformat{\section}[block]{\normalsize}{\textbf{問題\thesection}}{0.5em}{}
\begin{document}
\section{一様分布の平均と分散を求めよ. }
一様分布の確率密度関数\( f(x) \)を次のように定義する.
\[
f(x)= \left\{
\begin{aligned}
&\frac{1}{b-a} \: (a \leq x \leq b) \\
& 0 \: (otherwise)
\end{aligned}
\right.
\]
% 以下略
\section{}
\end{document}
からPDFを出力すると、つぎのような結果が得られます。
箇条書き
箇条書きのスタイルを変更するには、enumitem
を使うことができます。このパッケージを用いることで、見出しの行頭文字や、マージンを変更することが可能です。
プリアンブルに
\usepackage{enumitem}
を指定した上で、箇条書きを
\begin{enumerate}[label=\textbf{\alph*}]
\item 項目
\item 項目
\item 項目
\end{enumerate}
のように記述します。この場合の出力結果は 、次のようになります。